教育を起点とした好循環のまちづくり
教育に力を入れることにより税収を増やし、それによりさらに教育に力を入れる、教育以外の政策も充実させる、というのが好循環のサイクルです。
教育に力を入れることは、子どもだけでなく、市民全体にとってメリットがあります。一方、デメリットとしては、効果があがるまでに時間がかかることです。現状を良くする政策と将来を良くする政策のバランスをとることが重要です。
子どもたちの教育環境 3つの問題
問題1:授業での分からないことが積み重なっていく
算数や英語のような科目は、分からないところをそのままにしておくと、分からないことがどんどん積み重なってしまいます。 境界知能(IQが70~84)の人の割合は、人口の約14%と言われており、35人学級で考えると、クラスに5人程度いる計算になります。また、発達の特性から授業に集中することができない、教科書や黒板の文字が読みにくい、という子もいます。 こういった子にとっては、ゆっくり学ぶ、他の手段で学ぶ、あとから学ぶ、といった方法も有効だと考えますが、現状、それができていません。
問題2:学習に集中できる環境が整わない
授業の質が向上しても、前向きに取り組もうとしなければ、効果は上がりません。しかし、これを単に本人のやる気の問題と言えるわけではありません。
例えば、家庭が経済的に不安定であるとか、子どもが家族の介護や家事で忙しい状態であれば、今必要性を感じない学習に対して、やる気が出ないのは当然です。
厚生労働省の調査では、子どもの貧困率は約14%(クラスに5人)、ヤングケアラーの割合は、栃木県の調査によると小6で12%(クラスに4人)、中2で8.2%(クラスに3人)となっています。
「衣食足りて礼節を知る」という言葉がありますが、生活が安定しなければ、学習に集中することは難しいものです。
問題3:教師の過剰労働
過剰労働は、教師の心身への悪影響だけでなく、授業の質の低下、教師志望者の減少などにつながり、結果的に子どもの教育にとって不利益(好循環のサイクルで考えれば、市民全体にとって不利益)になります。
県内の他市、例えば栃木市では市議会の質問において、時間外勤務が月80時間の「過労死ライン」を超える教職員の割合が2022年度は7.9%と答えており、宇都宮市議会の質問では時間外勤務が月45時間以上の教職員の割合が、小学校35.9%、中学校52.2%、「過労死ライン」超えは小学校3.9%、中学校18.9%と答えています。
これらの問題に対して、次のような対策が必要だと考えます。
対策1 学習支援の拡充
現在でも、市で学習支援事業「いちご塾」(対象 小4~中3)を実施していますが、場所や時間の都合上、必要とする人に行き届いているわけではありません。地域との連携も視野に入れ、人の目を気にせず学び直しができる学習支援の場を身近に作ります。
対策2 タブレット機器の活用
教科書の文字を読む、図を見るだけでなく、映像や音声などでも学習することで、学習の進みがゆっくりの子や、学び方に特性がある子にもより理解しやすくなります。また、子育てや教育についての正確で有益な情報や、支援制度についての情報を発信します。
対策3 スクールソーシャルワーカーとの連携、家庭の支援
学校、スクールソーシャルワーカー、市の福祉担当部署などが連携し、子どもの生活、学習における問題の背景についての情報を共有し、解決を図ります。それにより、子どもが学習に集中できる環境を整えます。
対策4 教師の業務内容の見直し
「教師が行うべき業務」と「教師でなくてもよい業務」を区別し、内容を見直します。
特に、部活動指導については教師の負担が大きくなっています。現在の市議会でも議論が進んでいる、地域移行ができるかどうかとは関係なく、教師の心身の健康のために、日数や時間の適正化を図る必要があります。
見直し後の業務量によっては、非常勤講師や事務担当者を増員するなどし、教師が本来の業務に集中できるようにします。
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